長期修繕計画を組んでいないマンションは危ない?
2025.09.30

長期修繕計画のないマンションは、どのようなデメリットがあるのでしょう。
この記事では、そんな長期修繕計画を組んでいないことによるデメリットについて解説していきます。
長期修繕計画がないマンションに潜むリスクとは

新築間もないマンションでは、「まだきれいだから修繕計画は必要ないのでは?」と思う人もいるかもしれません。
しかし、長期修繕計画がないマンションは、将来的に資産価値や住環境の悪化につながる危険性をはらんでいます。
ここでは、長期修繕計画がないことで起こり得るリスクを4つの視点から見ていきます。
資産価値が下がり売却が難しくなる
長期修繕計画がないマンションは、金融機関から「資産価値の維持が不透明」と判断されやすいです。
その結果、住宅ローンの審査が通りにくいという問題が生じ、購入希望者がいても買えないケースが出てきます。
買い手がつきにくくなると、資産価値はさらに下落します。
売却を希望する所有者にとっても大きな痛手となり、将来的に「売れないマンション」となるリスクがあるのです。
安全・快適な暮らしが損なわれる
修繕が計画的に行われなければ、建物の劣化は加速します。
外壁のひび割れや防水機能の低下、給排水設備の故障などを放置すると居住者の生活環境そのものが悪化してしまいます。
さらに、管理状態が悪くなると空室が増え、治安の悪化や不法侵入のリスクも高まるでしょう。
こうした状況は、住みたくないマンションというイメージを生み、悪循環に陥ることも少なくありません。
修繕費の不足で工事が先送りされる
マンションの大規模修繕工事には、数千万円から億単位の費用が必要です。
しかし、長期修繕計画がないと積立金が不足し、必要なときに工事を実施できないという事態に陥ります。
資金が足りない場合には、
- 修繕積立金の急な値上げ
- 高額な一時金の徴収
- 修繕工事の延期・中止
といった厳しい選択を迫られることになります。
長期修繕計画があれば「必要なタイミングで必要な資金を準備する」ことができ、住民の負担を軽減することが可能です。
その場しのぎの工事で費用がかさむ
長期修繕計画がない場合、どうしても修繕は「壊れたら直す」という後手の対応になりがちです。
一時的には安く済むかもしれませんが、結果として劣化を放置して工事が大規模化し、費用が膨らむことも珍しくありません。
さらに、場当たり的な修繕を繰り返すことで積立金を消費し、肝心な大規模修繕の資金が不足するという悪循環を招きます。
計画的に修繕を実施することが、最終的には費用の節約につながるのです。
長期修繕計画がないマンションはどれくらい存在するのか?

建物は年数が経過するにつれて劣化が進むため、計画的に修繕工事を実施しなければ快適な住環境を維持することはできません。
では、実際に長期修繕計画を持たないマンションはどのくらい存在するのでしょう。
ここからは、そんな長期修繕計画を持たないマンションについて解説していきます。
9割以上のマンションは長期修繕計画を作成済み
国土交通省が平成30年に実施した「マンション総合調査」によると、長期修繕計画を作成している管理組合の割合は90.9%です。
つまり、長期修繕計画を持っていないマンションは全体の10%未満にとどまります。
このデータから見る限り、「長期修繕計画をまったく作成していないマンションは少数派」といえるでしょう。
計画があっても十分とは限らない
一方で、問題は「長期修繕計画を持っているかどうか」だけではありません。
調査では、25年以上の長期計画を前提に修繕積立金を設定している割合は53.6%にとどまっていることもわかっています。
つまり、計画そのものは存在しても、積立金の額が十分でないケースが多いのです。
その結果、将来的に大規模修繕工事を迎えた際、修繕積立金の値上げや一時金の徴収が必要になる可能性が高まります。
法的義務ではないが多くのマンションが導入
国土交通省が定める「マンション標準管理規約」では、長期修繕計画の作成が管理組合の基本的な責務として位置づけられています。
ただしこれはあくまで指針であり、法律で義務づけられているわけではありません。
とはいえ、多くのマンションはこの標準規約を参考に管理規約を整備しているため、長期修繕計画を導入している割合が高くなっているのです。
まとめ

マンションの長期修繕計画は、住民の快適な暮らしを守るだけでなく、マンションの資産価値を長期的に維持するために欠かせないものです。
もし長期修繕計画が存在しない場合は、管理組合での検討や専門家のアドバイスを受けるなど、早めの対策を取ることをおすすめします。
参考URL長期修繕計画がないとマンションはどうなる?購入前に調べておくべきポイントを解説|マンション図書館
長期修繕計画がないマンションは危険!対処法とチェックポイントも|株式会社さくら事務所