修繕積立金が足りていない!どんな対策がある?

2025.06.30

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急激な物価上昇もあり、修繕積立金が工事費に対して足りないという可能性も少なからずあるでしょう。

この記事では、そんな修繕積立金が足りない場合の対策について解説していきます。

大規模修繕の費用が不足する5つの原因とは?

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マンションの大規模修繕費用が不足する原因は何でしょう。

ここからは、そんな原因について解説していきます。

積立金の初期設定が低すぎる

国のガイドラインよりも少ない金額で設定された積立金では、年数を経るごとに工事費と乖離が生じるでしょう。

特に新築時に販売しやすくするため、低めに設定されている物件も多く見られます。

高コストな設備の維持

機械式駐車場やエレベーターなど維持費がかかる設備の多いマンションでは、積立金が圧迫される傾向があります。

値上げへの反発

物価上昇などで必要な金額が増えても、住民の反対によって積立金の増額が進まないことがあるでしょう。

修繕計画の見直し不足

築年数や費用の変化に合わせて計画を更新しなければ、現実とズレが生じ将来的な資金不足に陥るリスクが高まります。

積立金が足りない時はどうする?

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マンションの大規模修繕工事の実施を目前にして「積立金が足りない」と判明したとき、管理組合は厳しい判断を迫られます。

しかし、打つ手がないわけではありません。

ここでは、積立金不足に直面したときに検討すべき項目について解説していきます。

住民の理解を得るために「積立金の値上げ」から着手

修繕積立金が不足する背景には、多くの場合「金額設定の甘さ」があります。

将来の修繕計画に対して積立額が低すぎるまま年月が過ぎ、結果として資金が足りなくなるのです。

そのため、最も根本的な対策は「積立金の値上げ」となります。

急な値上げは反発を招くため、段階的な引き上げを提案し住民説明会などで丁寧に説明を重ねることが重要です。

長期的な視点で考えれば、住民の資産価値を守るためにも不可欠な選択肢といえるでしょう。

必要なところだけ先に工事する「優先順位型リスケジュール」

建物全体の修繕を一度に行うのではなく劣化の激しい箇所に絞って工事を実施し、それ以外の部分は先延ばしにする「段階的修繕」も現実的な選択肢です。

たとえば、外壁や屋上防水だけを先に済ませ、廊下や鉄部塗装などの工事は数年後に行うなど緊急性の高い部分を優先的に修繕します。

この方法により、限られた予算でも最低限の修繕が可能になり住民への金銭的負担を抑えることが可能です。

高すぎる見積もりに要注意!「施工会社の見直し」でコスト削減

同じ内容の工事でも、施工会社によって見積もり額は大きく異なります。

管理会社任せで決定してしまうと、相場より高い金額で契約してしまうケースもあるため要注意です。

複数社から見積もりを取り、内容・価格・実績を比較することが大切です。

最近ではプロポーザル方式を採用する管理組合も増えており、価格だけでなく技術力や対応力まで含めて評価する仕組みが整いつつあります。

公平で透明性の高い業者選定を目指しましょう。

今は無理でもいずれ必要「借入れで工事資金を確保」

金融機関からの借り入れは、工事費を一時的に確保する手段として有効です。

大手銀行や信用金庫、JAなどでマンション向けローンを扱っており、管理組合名義で借入れが可能です。

これにより、今すぐに住民から大きな負担を求めずに済みます。

ただし、借入れは返済が発生するため将来的な積立金の上乗せや返済計画も合わせて検討する必要があります。

また、借入れ履歴がマンションの価値評価に影響する場合もあるため慎重に判断しましょう。

住民の合意形成がカギ「一時金徴収」の現実と課題

一時金の徴収とは、修繕時に不足した分を住民から追加で集める方法です。

たとえば、1戸あたり20万円〜50万円といった金額を一括または分割で徴収します。

確かに短期間で資金を調達できる方法ではありますが、高齢者世帯や子育て世帯など支払いが困難な住民にとっては大きな負担です。

また、住民の間で不公平感が生まれやすく、トラブルの原因になることも考えられます。

一時金徴収を行う際は、丁寧な説明と全体の合意形成が欠かせません。

延期は本当に最善策?「時間稼ぎ」が裏目に出ることも

積立金が十分に貯まるまで工事を延期するという選択肢もありますが、これはあくまで“最後の手段”として慎重に検討すべきです。

というのも、工事を先延ばしにすることで劣化が進行し、結果として修繕費がさらに増大する可能性があるためです。

加えて、昨今の建設業界では資材費や人件費の上昇が続いており、将来のコスト増も見込まれます。

延期によって短期的な負担は避けられますが、長期的にはリスクが大きくなる点を理解しておきましょう。

まとめ

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修繕費の不足は、突然起こるものではありません。

原因の多くは、時間をかけて積み重なってきた「見落とし」や「判断の先送り」です。

しかし、早期に気づいて手を打てば軌道修正は可能です。

積立金の再検討、設備の見直し、住民への丁寧な説明などのできることから一歩ずつ進めていくことがマンション全体の価値と安心を守る第一歩となります。

参考URL
修繕積立金が足りない!今からできる6つの対処法と解決策を解説|SAKURA

マンションの大規模修繕工事!費用が足りない場合にはどう対処すべき?|セゾンのくらし大研究

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