国立市の指定文化財を一挙紹介!
2025.01.31
国立市には、国や都指定の文化財が多数あり、どれも魅力的なものばかりです。
この記事では、そんな文化財を紹介していきます。
木造獅子狛犬(もくぞうししこまいぬ)
この狛犬は、村上天皇の時代に造られたと伝えられ、13世紀後半の製作と考えられています。
木造で漆箔(うるしばく)が施され、目には玉眼(ぎょくがん)が使われており像の高さは54.3センチメートルです。
特徴として、前足の片方を曲げて体をひねる独特な動きのある姿勢が挙げられます。
また、表情には遊び心が感じられ、中国の宋時代の獅子像の影響を受けたとされています。
この狛犬は、漆箔の下地が建治元年(1275年)銘の扁額と類似していることから、その時期に近い年代の作品とされてきました。
歴史的・美術的に貴重な彫刻作品として、重要文化財に指定されています。
- 文化財分類種別:重要文化財(彫刻)
- 所在地:東京都国立市谷保5209(谷保天満宮)
- 指定日:昭和23年(1948年)4月27日
木造扁額「天満宮」(もくぞうへんがく てんまんぐう)
この扁額は、鎌倉時代の建治元年(1275年)に制作されたものです。
木製の板に「天満宮」と草書体で刻まれ、その上に布張りが施されています。
大きさは縦66.2センチメートル、横49.4センチメートルの大きさです。
裏面には、制作年を示す「建治元年乙亥六月廿六日乙丑書之」という銘があり、さらに筆者として「正三位藤原朝臣経朝(ふじわらのあそん つねとも)」の名が記されています。
経朝は世尊寺家(せそんじけ)の第九代であり、書道の名手として知られてきました。
この扁額は、鎌倉時代の扁額として非常に貴重であり、当時の書風や工芸技術を伝える重要な資料となっています。
- 文化財分類種別:重要文化財(工芸品)
- 所在地:東京都国立市谷保5209(谷保天満宮)
- 指定日:昭和25年(1950年)5月30日
石棒(せきぼう) 附土器残欠(つけたり どきざんけつ)
この石棒は、東京都国立市の緑川東遺跡で発掘された縄文時代中期末葉から後期初頭(約4000年前)のものです。
石棒は4本完形で出土し、すべて1メートル以上の大きさがあります。
出土時の配置は、中央に空間を挟んで2本ずつ対峙する形で並べられており、これは国内では初めての発見でした。
石棒は、縄文時代における祭祀(まつりごと)に使用された道具で通常は被熱や破損していることが多いですが、これほど完全な形で4本まとまって出土するのは極めて珍しく学術的価値が非常に高いと評価されています。
また、同じ遺構から出土した深鉢形土器2点と赤彩された土器片1点が、石棒とともに重要文化財に指定されました。
これらは、石棒が使用された時代の特定に役立つとともに、当時の朱(あか)の利用を示す最古級の資料としても貴重です。
この石棒は、国立市が所有する文化財として初めて国の重要文化財に指定された点でも意義深いものとなっています。
- 文化財分類種別:重要文化財(美術工芸品:考古資料)
- 所在地:東京都国立市谷保6231(くにたち郷土文化館)
- 指定日:平成29年(2017年)9月15日
兼松講堂(けんまつこうどう)
兼松講堂は、一橋大学(旧・東京商科大学)のシンボル的建造物の一つです。
関東大震災後、東京商科大学が神田一ツ橋から国立へ移転した際に建設され、昭和2年(1927年)8月に完成しました。
この講堂は、商社「兼松商店」の創業者・兼松房治郎の13回忌を記念し、同社から寄贈されたものです。
設計は東京帝国大学教授の伊東忠太によるもので、ロマネスク様式の影響を受けた意匠が特徴です。
建物は鉄筋コンクリート造2階建てで、建築面積は1,471平方メートルに及びます。
外装にはスクラッチタイルと腰石張りが施され、正面の車輪窓には一橋大学の校章が掲げられています。
- 文化財分類種別:国登録有形文化財(建造物)
- 所在地:東京都国立市中2-1(一橋大学)
- 登録日:平成12年(2000年)9月26日
一橋大学旧門衛所(ひとつばしだいがく きゅうもんえいしょ)
昭和6年(1931年)に東京商科大学の門衛所として建設され、昭和42年(1967年)に現在の西守衛所が完成するまで、その役割を担っていました。
現在は西キャンパスの中心線上に位置し、図書館と向かい合う形で残されています。
建物は木造平屋建てで、建築面積は53平方メートル、外装はモルタル塗り腰部にはスクラッチタイルを矢筈(やはず)積みにし、下見板張りのデザインとなっています。
フランス瓦葺きの屋根を持ち、側面には鉄板葺きの出窓を設置するなどハーフティンバー様式の瀟洒(しょうしゃ)な洋風建築です。
一橋大学の歴史的景観の一部として、日本建築学会からも保存に値する建物と評価されています。
- 文化財分類種別:国登録有形文化財(建造物)
- 所在地:東京都国立市中2-1(一橋大学)
- 登録日:平成12年(2000年)9月26日
滝乃川学園本館(たきのがわがくえん ほんかん)
滝乃川学園本館は、日本最古の知的障害児者のための教育施設として知られる滝乃川学園の本館です。
学園の創立者・石井亮一が、昭和3年(1928年)に現在地へ移転・新築しました。
この木造建築は、ホタルの飛ぶ矢川のほとりに佇むモダンな近代建築で左右対称の平面を持ち、1階には教室、2階の中央には講堂を配置しています。
外観は、アーチ付きの玄関ポーチを中心に水平線を強調したデザインで、整然と並ぶ窓と相まって軽やかな印象を与えます。
学園内には、礼拝堂や石井亮一の妻・筆子が愛用した「天使のピアノ」が現存しており、知的障害児福祉の歴史を伝える貴重な施設と言えるでしょう。
平成21年(2009年)には保存修理工事が完了し、現在は展示室やコンサート・講座の会場としても活用されています。
- 文化財分類種別:国登録有形文化財(建造物)
- 所在地:東京都国立市矢川3-16-1(滝乃川学園)
- 登録日:平成14年(2002年)8月21日
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