アパートの大規模修繕は、どのような備えが必要?
2025.05.20

アパートの大規模修繕には、どのような備えが必要なのでしょう。
この記事では、そんなアパートの大規模修繕について解説していきます。
アパートの大規模修繕に必要な備え

アパートの大規模修繕には、数百万円から1,000万円以上のまとまった費用が必要になることも珍しくありません。
ここからは、そんなマンション大規模修繕に必要な備えである資金確保について解説していきます。
修繕費用の多くは積立で準備されている
実際に大規模修繕を実施しているオーナーの多くは、事前に費用を積み立てて備えていることが多いです。
特に、自主管理のオーナーでは、自分で積立を行うケースが目立ちます。
一方、委託管理やサブリースを活用している場合は、管理会社に積立を任せるなど形はさまざまです。
なお、積立を行っていない場合でも工事の際に借り入れを行ったり手元資金で対応したりと、何らかの方法で費用を調達して修繕に臨んでいるオーナーが多く見られます。
修繕にまったく備えていないケースは、ごく一部にとどまっているのが実情です。
積立しない理由:経費に計上できないから
大規模修繕は定期的に必要な作業ですが、オーナーの中には「積立はしていない」という人もいます。
その主な理由は、積み立てた金額をそのまま経費にできないという会計上のルールにあります。
会計では、原則として「実際に発生した費用」のみが経費として認められるため毎月積み立てていても、その時点では費用として扱えません。
つまり、積立金は帳簿上では利益を圧縮する効果がなく、税金対策にはならないというわけです。
このため、特に事業規模の小さいオーナーは、資金を拘束されることを嫌って積立を避ける傾向があります。
賃貸住宅修繕共済で積立も経費にできる
こうした課題を解消する手段として、2023年に新たな制度が登場しました。
全国賃貸住宅修繕共済協同組合が提供する「賃貸住宅修繕共済」は、積み立てた金額をその年の経費として計上できる仕組みです。
この制度を活用すれば、税務面の不安を抱えるオーナーでも無理なく修繕費を積み立てることが可能になります。
積立金が経費として認められることで、資金の準備と節税対策の両立が図れるのが大きなメリットです。
修繕に備えるために今できること
大規模修繕に向けて、オーナーが早めに備えておきたい具体的な行動は以下のとおりです。
- 長期修繕計画の作成:10〜15年単位で、修繕のタイミングや内容を整理
- 積立方法の決定:自分で積立を行うか、管理会社に委託するか検討
- 制度の活用検討:「修繕共済」など、経費として処理できる仕組みを活用
- 金融機関との連携:必要に応じて借り入れの準備も視野に入れる
- 管理会社との相談:実施時期や費用の目安を把握し、計画的に対応する
アパートの大規模修繕に備えて知っておくべきことは?

アパートの大規模修繕に備えて知っておくべきことは何でしょう。
ここからは、アパートの大規模修繕に備えて知っておくべきことを解説していきます。
修繕積立金の残高=工事予算ではない
新築時の積立基金が含まれているため、現時点の残高がそのまま大規模修繕工事に使えるわけではありません。
次回以降の修繕に備え、長期的な資金計画を立てることが重要です。
劣化診断が形式的になりがち
本来は必要性や時期を判断するための劣化診断ですが、計画通りに進める前提で行われることが多いのが現実です。
中立的な第三者に診断を依頼することで、より適切な判断が可能になります。
ウィークポイントは元通りでは解決しない
ひび割れしやすい箇所や水が溜まりやすい部分は、ただ補修するだけでは再発を防げません。
大規模修繕のタイミングで根本的な改善を図ることが、将来的なメンテナンス負担を減らします。
アパートの大規模修繕の相場

アパートの建物は、5年~10年ごとに何らかの修繕が必要になるといわれています。
では、長期的に見るとどのくらいの修繕費用がかかるのでしょう。
ここからは、そんなアパートの大規模修繕の相場について解説していきます。
木造アパート(10戸)の修繕費用
間取りによって建物の大きさが異なるため、修繕費用も変わってきます。
- 1Kタイプ(10戸):30年間で約1,740万円
- 1LDK・2LDKタイプ(10戸):30年間で約2,160万円
戸数が同じでも建物が大きくなる分、1LDK以上のアパートの方が費用は高額です。
また、11~15年目、21~25年目には屋根や外壁の再塗装、給湯器などの設備交換が重なるため他の時期よりも費用がかさむ点には注意が必要です。
RC造アパートの修繕費用(10~20戸)
耐久性の高いRC造でも、定期的なメンテナンスは欠かせません。
- 10戸・1Kタイプ:30年間で約1,770万円
- 20戸・1LDK・2LDKタイプ:30年間で約4,490万円
10戸の1Kでは、木造と大きな差はありませんが、20戸になると修繕費用も倍増します。
RC造は規模が大きくなりやすいため、戸数に比例して必要な費用も上がっていきます。
家賃収入が高くても、建物規模に見合った修繕積立が求められるでしょう。
計画に含まれていない追加費用もある
今回の試算では、築30年以降に必要となる以下のような設備更新費用は含まれていません。
- 給排水管の交換
- 貯水槽の入れ替え
- エレベーターの更新
これらの工事には数百万円単位の費用がかかるケースもあるため該当する設備がある物件では、別途資金を見込んでおくことが大切です。
まとめ

アパートの大規模修繕では、資金の備えが必要となります。
しっかりと計画を立てておくようにしましょう。
参考URLマンション大規模修繕工事に備え、知っておくべき注意点|マンション管理組合のミカタ
アパート(一棟物件)の大規模修繕にどう備える?費用や周期を解説| LANDNET
マンション大規模修繕の費用は?払えないときの対処法や工事の優先順位も|マンション管理組合のミカタ